実際の英語名
"Snarl"がバークアウトの英語名となる。
じゃあ「バークアウト」ってなんだ?和製英語か?と思ったので調べてみた。
それぞれの意味
Weblio英和辞典によると、"bark out" は熟語として確かに存在しており、「がみがみ言う、どなって言う」という意味。
一方"snarl"は「(歯をむき出しにして)うなる、がみがみ言う、どなる」という意味。
両者は類語であるが、一番の違いに"snarl"が「犬などの動物」を主語に取りうるのに対し、"bark out"はおそらく取らないだろう(動物が主語の例文は見つからなかった)という点がある。
(比較対象として単語"bark"を調べると、「(犬などが)吠える」の意味で、主語は動物をとる。「がみがみ言う、どなる」もあるが、この意味ではしばしば"out"を伴うらしいので、ここでは"bark out" の守備範囲とする)
技としての「バークアウト」
ここで一度ポケモン本編の「バークアウト」について整理する。
技の説明は、英語ROMでは
"The user yells as if it's ranting about something, which lowers the Sp.Atk stat of opposing Pokemon."
(何かにどなりたてるように叫んで相手のとくこうをさげる)
日本語では
「まくしたてるようにどなりつけてあいてのとくこうをさげる」(ポケモンWikiより)となる。
また、覚えるポケモンはあくタイプ中心で、あくタイプと関係ないのにわざわざ覚えるのは基本的には犬である(文末補足)。
ピッタリな訳とその要素
技の説明(意味)には怒鳴りたてる不快なニュアンスがあり、覚えるポケモン(主語)には犬が意識されている。以上から、ピッタリな訳は"bark"ではなく(怒鳴ってない)、 "bark out"(主語が犬っぽくない)ではなく"snarl"ということになる。
ただこれを日本語にするとなると、「スナル」「スナール」では気の抜けた響きで怒鳴るイメージがつかない(ように筆者には感じる)。
「主語」「意味」に加え「音の響き」の3要素を考慮せねばならず、そのうち意味と音の2つを「バークアウト」は良い感じで満たしている。
"bark out"の主語が人間か動物かを気にする人は日本語ユーザーには(相対的には)少ないだろうし、他の英語や日本語にしっくりくる候補が無ければ、「バークアウト」が望ましい訳になるようだ。
これは推測だが、この技はまず英語ありきでデザインされたように感じる。日本語ではなく英語の"snarl"からヒントを得て技がデザインされ、日本語にローカライズされたパターン。これは単純に面白いし勉強にもなるので、増えていってほしい。(日本語・英語以外が元ネタのパターンもありえるが、今回はそこまでは分らなかった)
補足:あくタイプと関係ないのにバークアウトを覚えるポケモン
ウインディ系、(ミュウ)、グランブル系、(ドーブル)、ライコウ、エンテイ、スイクン、ライボルト系、レントラー系、ムーランド系、クリムガン、カエンジシ系、トリミアン、ルガルガン系、グソクムシャ(のみ)、ジジーロン、カプ・ブルル、ソルガレオ(のみ)、アーゴヨン、ゼラオラ。ポケモン徹底攻略より
少なくとも6世代までは犬+クリムガンといったメンバー。7世代がよくわからない。グソクムシャは犬だった・・・?