噴火・潮吹きの定理

ポケモン対戦をいかにシンプルにできるか

【全国ダブル】Lv44キリンアブソル【叩きパ】

構築の経緯

 

 「エルテラ」というギミックがある。エルフーンのふくろだたきで味方のテラキオン(せいぎのこころ)を殴り、攻撃ランクを上げて超火力を出す。

 

 中でもテラキオンが強い理由の一つに、タイプ一致範囲技(いわなだれ)を使えるという点がある。他のせいぎのこころポケモンは、範囲技を覚えるもののほぼタイプ不一致で、火力不足が予想される。

 

 その唯一の例外がアブソルの「ぶんまわす」。第7世代に習得した。

 

 実際のところせいぎのこころはテラキオンが本当に一番強いのか?アブソルも強いのでは?

 

 とも思ったが、まあテラキオンのほうが種族値が高くて強そう。ただアブソルのことも気になったので、せいぎのこころアブソルで構築を組むことにした。

 

 

 まずアブソルはせいぎのこころ持ちの中でガーディについで遅いので、これを生かすためトリックルーム軸に決定。

 

 次にトリル役。ギミックを単純にするため、ふくろだたきも覚えるポケモンを条件とした。候補はドーブルエルフーンキリンリキ。特性精神力で怯み耐性のあるキリンリキを素直に採用。キリンリキはS種族値が85でアブソルの75より速いため、レベルを44まで落としてトリル下でアブソルの下をとれるようにした。

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 これでlv44キリンアブソルの軸が決定。

 

 次にもう1体のトリルアタッカーについて。高火力ぶんまわすを使う以上味方は巻き込みたくないので、特性テレパシーから選択することに。種族値が高くぶん回す半減(かくとう・あく・フェアリー)に弱くなく、トリックルーム2週目も狙えるサーナイトを採用。

 

 トリルサポート役のねこだましについて、アブソルの低い耐久を少しでも補うために威嚇持ちが欲しい。候補はカポエラーズルズキンニャヒートガオガエン。アブソルの攻撃が通りづらいバンギラスへの打点が欲しいので、格闘技の威力が低いニャヒートは除外。残る3体はいずれもアブソルと弱点が被るが、格闘技よりフェアリー技のほうが環境に多そうなので、カポエラーズルズキンではなくガオガエンを採用。

 

 ここまででサーナイトガオガエンの採用が決まってしまったので、残る2体はサナガエンによくいるメンバーから選び、偽装兼裏選出とすることにした。

 

 ねこだまし以外のトリルサポート手段を持ち、基本選出で対処できない純トリパ(アブソルがトリルアタッカーにしては速すぎるため)を対処しやすいモロバレルがまず決定。

 

 ここまでで重い相手のモロバレルの催眠対策と、アブソルの苦手なバンギラスヒードランに強いポケモンとして水Zちょうはつカプ・レヒレを採用。

 

構築を完成とした。

 

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個別紹介

 

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アブソル

特性:せいぎのこころ

持ち物:シルクのスカーフ(QRはオボン)

172-200-80-*-81-72 勇敢最遅

努力値:HA252D4

ぶんまわす/やつあたり/ふいうち/みきり (QRはやつあたりがすてみタックル)

 A4ぶんまわすダブルダメージで無振りメガリザードンYが確定1発

 A3シルクのスカーフやつあたりでH振りカプ・レヒレおよびカプ・ブルルが乱数1発(75%)、A4なら確定1発

 A3↑ ふいうちで無振りメガガルーラが乱数1発(43%)、A4↑ なら確定1発

 

 ギミックの主砲。キリンリキに叩かれて攻撃を上昇させた後、全体技のぶんまわす、ノーマル単体技のやつあたり、先制技の不意打ちを使い分けて相手を倒していく。

 

 ぶんまわすは相手2体を攻撃しつつ味方のキリンリキを退場させる技だが、意外と連打しない。A3段階上昇では割と火力が足りないので、やつあたりで倒してもう片方の相手の攻撃を耐え、キリンリキにもう1度叩いてもらうことが多い。ガオガエンの威嚇やキリンリキのリフレクターのおかげで、物理攻撃ならたとえアブソルであってもある程度耐えられる。キリンリキが不要になったらぶんまわそう。

 

 ふいうちは非常に強い技、この技が無いと鉄球テラキオンとの差別化が難しい。一度攻撃ランクさえ上げてしまえば、トリルが切れた後でも相手を上から縛ることができる。相手視点でもトリルが切れたときは反撃に転じるタイミングなので刺さりやすい。この技のおかげでトリル下では攻撃ランクさえ上げておけば(+生き残れば)十分なので、トリル下であまり急がなくてもいい点も良かった。

 

 ふいうちはサーナイトのトリル2週目へのねこだまし的なサポート(相手は気絶する)として使ったり、トリル下で後出しされた相手のトリルアタッカーより先に攻撃したりという使い方もある。サイコフィールド下では通しづらいが、その分サーナイトエスパー技の火力が上がるので有効活用したい。

 

 あくタイプ以外の攻撃技も欲しいので、威力命中安定で耐久が削れず等倍範囲の広いやつあたりを採用。アブソルのもともとの攻撃が高いのである程度威力は出るが、A3段階上昇時にH振りカプ・ブルルを倒せる(高乱数だが)ようにシルクのスカーフを持たせた。QRではすてみタックル(シルクやつあたりとほぼ同威力)+オボンに変更。

 

 おんがえしにしなかった理由はへんしん対策。だが実際にへんしんされるとそれなりに困る。メタモンキリンリキ共々技構成を見られ気まずくなった上に、アブソルにへんしんされてこちらのアブソルのぶんまわす(悪技)を受けられ攻撃を上げられた挙句、レッドカードでこちらのアブソルが退場させられた悲しい試合があった(負けた)。

 

 

 

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キリンリキ(lv44)

特性:せいしんりょく

持ち物:きあいのタスキ

156-79-108-*-80-71 のんき最遅

努力値:H246(最大)B220D40

ふくろだたき/トリックルーム/リフレクター/まもる

素早さ最遅アブソル -1

攻撃特化ウインディのいのちのたましんそくが最大乱数2連以外2発耐え 残りD

(攻撃特化アブソルのA2↑ ぶんまわすダブルダメージで確定1発)

 

 トリル役兼叩き役。素早さをアブソル-1とするため低レベルで採用した。低レベルといえど44もあるので、耐久に振れば相手の攻撃をある程度耐えられる。今回は防御に寄せ、ガオガエンの威嚇と合わせて物理攻撃を複数回受けることにした。

 

 実際に低レベルとは思えない物理耐久になっており、

A↓1バンギラスかみくだく+砂ダメ2回

A↓1ランドロスの地面Z

あたりをタスキ関係なく耐えて感動したことがある。

 

 ふくろだたきは主にアブソルを叩くためだが、タスキつぶしや試合終盤のとどめにも使うことがある(フリーでアローラライチュウキリンリキだけで叩き倒したこともある)。

 

 ふくろだたき、トリックルーム、まもるが必須で残り1枠は自由だが、今回はリフレクターを選択。物理アタッカーを起点にアブソルの防御面をサポートすることにした。特殊アタッカーは特防が高めな代わりに防御が低めなイメージがあるので、特殊アタッカーはアブソルで倒す、物理アタッカーは耐える、と分けることにした。なきごえやひかりのかべでもよさそう。

 

 棒立ちになり易そうな技構成に見えるが、アブソルのぶんまわすで退場できるのであまり気にならない。

 

 相手の防御を下げる技がキリンリキに無いのが惜しい。しっぽをふるは覚えてもいいのでは・・・それとも茶色いアレはしっぽではない?

 

 

 

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サーナイト

特性:テレパシー→フェアリースキン

持ち物:サーナイトナイト

175-*-103-176-135-77  →175-*-103-220-155-95 冷静

努力値:H252B140C116 C11nあまりHB

サイコショック/ハイパーボイス/トリックルーム/まもる

 

 「控え目無振りメガサーナイトサイコショック確定耐え調整」のモロバレルサイコショックで高乱数1発(87.5%)

 

 第2のトリルアタッカー。メガ前の特性がテレパシーなので、アブソルでぶんまわしたいときに便利。素のサーナイトでも火力を出したかったので特攻に振り切った。トリル2週目の展開がアブソルのふいうちのおかげで楽ではないかと感じたため、冷静最遅でトリルに振り切った運用にしたが、控え目などでもいいかもしれない。技はスタンダードな4種。

 

 面倒なモロバレルをできるだけ倒せるようにしたが、ギミックの流れの中で実際に倒すのは難しかった。

 

 この枠は当初オーベム(遅い)やヤレユータン(ぶんまわすをさいはいできる)、物理特化じこあんじメガサーナイト(強そう)などだったが、結局普通のメガサーナイトが一番安定すると感じた。

 

 

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ガオガエン

特性:いかく

持ち物:脱出ボタン

197-167-110-77-110-101 意地っ張り

努力値:H212A132S164 

フレアドライブ/バークアウト/けたぐり/ねこだまし

Sはやめ 攻撃特化ランドロス地震ダブルダメージ確定2発、いわなだれダブルダメージ確定3発、残りA

 

 トリルサポート役。キリンリキのトリル成功率を上げるため上からねこだましをしたいので多くのガオガエンより速めにした。が、若干トリル下で動かしづらかったので素早さは考察の余地あり。持ち物はアブソルを展開するための脱出ボタン。

 

 技はトリルサポートのねこだまし、相手のナットレイがきついのでフレアドライブ、相手のバンギラスヒードランがきついのでけたぐりまで決定。また初手で脱出ボタンが不発だった場合に、少しでもアブソルを安全に場に出すためにバークアウトを採用。キリンリキひかりのかべを採用した場合は違う技でも良い。

 

 

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モロバレル

特性:さいせいりょく

持ち物:エスパー半減実

221-*-90-150-101-31 冷静最遅

努力値:HC252D4

ヘドロばくだん/エナジーボール/いかりのこな/キノコのほうし

 

 ガオガエンねこだましではトリルサポートが難しそうな場合(テテフやクロバットなど)のトリルサポートを担当。純トリパ相手の妨害役も担う。

 

 持ち物はテテフの攻撃を耐えるためエスパー半減実にした。エスパー技が飛んできそうなら裏のガオガエンやアブソルでうけるのもありだが、同時に挑発も吸いたい等モロバレルが引けない場合も考慮した。基本選出のうちキリンリキにほとんど攻撃性能がなく、またちょうはつをよく受けそうなので、冷静最遅のアタッカーにした。

 

 トリル後のアブソルへの展開がちょっと難しめ。眠らせるなり倒されるなり後発のガオガエンをクッションにするなりしてうまく回す。

 

 

 

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カプ・レヒレ

特性:ミストフィールド

持ち物:水Z

177-*-135-161-150-105 控え目

努力値:HC252B4

ハイドロポンプ/ムーンフォース/まもる/ちょうはつ

 

 一番悩んだ枠。相手のモロバレルがきつい、初手で眠らされてもきつい、後出しからキリンリキのふくろだたきを粉で吸ってきてもきつい、という感じだった。そのためミストフィールドやちょうはつで何としても対抗するために採用した。ただカプ・レヒレ自体がモロバレルに弱点を突かれることもあり、対応が難しかった。エスパーZクレセリア等でも良かったのかもしれない。

 

 技は採用理由のちょうはつ、タイプ一致最高火力のムーンフォースと全体技だくりゅう、アブソルのぶんまわすから逃れるためのまもるを採用。積むタイミングがわりとあるのでめいそうを採用したかったが技スペースが足りなかった。持ち物は余っていたZを採用して瞬間火力を確保した。

 

選出と試合の流れ

基本

先発:ガオガエンキリンリキ

後発:アブソル+サーナイト(orカプ・レヒレorモロバレル

 

 ねこだましをしながらキリンリキはトリル、バークアウトなどで安全にアブソルを着地させる。その後キリンリキでアブソルを叩いて、やつあたりorぶんまわすで攻撃。トリルが切れたらふいうちで相手を縛りながら、サーナイトのトリル2週目に繋げる。

 

 

カプ・テテフクロバット入り

先発:モロバレルキリンリキ

後発:アブソル+ガオガエン

 流れは基本と同じ。挑発を吸ったり、エスパー技を後ろの悪タイプで受けたりする。モロバレルを脱出ボタンガオガエンに引くとアブソルが着地しやすくなる。

 

 

きつくなさそうなモロバレル入り

先発:ガオガエンキリンリキ

後発:アブソル+カプ・レヒレ

 相手が初手からモロバレルで妨害してきそうなら、キリンリキまもる+ガオガエンカプ・レヒレに交換。そうでなければ基本パターンと同じ流れ。

 

きつそうなモロバレル入りや純トリパなど、キリンアブソルが無理そうな場合

サナガエンバレルレヒレ サナガエンとして運用

 

 筆者はまっとうなサナガエン構築を使ったことが無いので詳しいことは言えないのだが、メンバーだけ見るとサナガエンとして運用できてトリパに強そうな駒が揃っている。サナガエンは相手のメガメタグロスが大変らしいのだが、素のアブソルのふいうちで6~7割削れるようなので、対策枠として機能するかもしれない。

 

 

戦績・感想

 

 シーズン17の序盤、9連勝して1600前後をうろうろした後に負けが込み、1500ちょいまで戻ってきた。連勝中は思ったより強いと感じたが、ギミックが通らない相手も多かった。厳しかった相手は例えば以下の通り。

 

 キリンリキへのスカーフトリック 

 後発モロバレル

 ガオガエンの脱出後、相手のレヒレの眼鏡濁流急所でアブソルが出オチ

 タスキで耐えたキリンリキが砂ダメで落ちる(勝った)

 ガオガエン無視でキリンリキに集中され続ける(勝った)

 相手にサーナイトカプ・レヒレを並べられる(両方同時には倒せない、かつどちらもアブソルを確定1発)

 アブソルの攻撃をタスキで耐えられる(勝った)

 エモンガにちょうはつされる(→ガエンを素早くして対策)

 鋼まけんき勢(3敗)

 メガガルーラキリンリキへのふいうち(2敗)

 トリル後の相手の強い先制技でアブソル(遅い)のふいうちがすかされる

 ピッピマッスグマを止められない(→カプレヒレの水技をハイドロポンプからだくりゅうへ変更)

 

 気になった点として、ギミックが不発でも偶にだが勝てることがあった(自作構築としてはかなり珍しい)。キリンアブソル以外のポケモンが粘って拾った試合なので、ギミックパーツ以外を高種族値で固めると構築が安定するということがよく理解できた。

 

 実際のところ、威嚇ガオガエン解禁以前に作ったプロトタイプ(トゲデマルキリンリキ・アブソル・オーベム)は全く勝てず1300台に直行していたが、威嚇や高種族値を入れることで比較的まともなパーティーにすることができた。

 

 そう考えると、エルテラはテラキオン以外にも、自然に高種族値で固まっているのが強い要因だと改めて感じた。

 

 

 

QR

3ds.pokemon-gl.com