前置き
まるくなるモロバレルを育成したところからスタート。
まるくなるはモロバレルのタマゴ技なので、関連する遺伝経路を色々見ていたところ、タツベイもタマゴ技としてまるくなるを覚えるのを見つけた。丸くないのに。しかも遺伝がそこそこ面倒。
という経路。
剣盾は割とタマゴ技の廃止や変更が多い世代という認識だったので、この弱く(タツベイ族はてっぺきも覚える)遺伝が比較的面倒なタマゴ技が残っているのが意外だった。
まるくなるを残す理由としては「ころがる」の存在もある*1が、これもコモルーとボーマンダが過去作の教え技で覚えるのみ。
タツベイとまるくなるの関係が気になったので、順を追って調べてみた。
用語整理
まるくなる、まるくなれない:技「まるくなる」を習得するか否か
丸い、丸くない(漢字):ポケモンの形が球状に近いか否か
まるころ:技「まるくなる」「ころがる」の両立およびそのコンボ
第2世代
伏線の世代。
まるくなる、ころがるがそれぞれ技マシン40, 技マシン04として実装される。特にまるくなるは丸くなさそうなポケモンにも大量にばらまかれ、ヒトカゲゼニガメフシギダネ等も習得した。
第3世代
事の発端の世代。
ルビー・サファイア発売と同時にタツベイ・コモルー・ボーマンダが初登場。
まるくなる・ころがるの技マシンは消滅したが、エメラルド発売により教え技として復活。コモルーとボーマンダはどちらも習得した。
一方タツベイはどちらも習得できず。その理由はおそらく、
タツベイが丸くないからである。
実は第2世代の丸くないまるくなる組(ヒトカゲゼニガメフシギダネ等)は第3世代もまるくなるを習得しているが、これは単に第2世代をそのまま引き継いだだけ。
少なくとも第3世代初出のポケモンについては、丸いポケモン・丸くないポケモンをしっかり区別しようという方針が垣間見える。
以上より、第3世代ではコモルーとボーマンダはまるころを両立でき、タツベイはどちらも覚えないという状態。
第4世代
事がこじれ始めた世代。
プラチナとハートゴールド・ソウルシルバーで教え技のシステムが続投。ころがるはラインナップに残った一方、まるくなるが教え技から削除されてしまった。
これに関し、一部のポケモンには救済措置も出された。例えばホエルコは第3世代ではまるくなる習得を教え技に頼っていたが、第4世代ではタマゴ技に変更された。もともとレベル技のころがると合わせて、まるころコンボが継続して使える。
しかし、コモルーとボーマンダにまるくなるがタマゴ技で配られることは無かった。その理由はおそらく、
タツベイが丸くないからである。
「そんな!それではコモルーもボーマンダも防御を上げられないのでは!?」という懸念ももちろんある。
しかし実は、コモルーとボーマンダには「てっぺきを教え技で習得」という救済(実質強化)が入っている。これにより運用上の問題点はなくなった。まるころが使えないこと以外は。
このようにして、第4世代のコモルーとボーマンダはまるくなれず、まるころは第3世代のコモルーとボーマンダの特権となった。
第5世代
事が一気にこじれた世代。
BWで突如タツベイがまるくなるをタマゴ技で習得したのだ。
判断の根拠としては、
・コモルーは丸いポケモンなのでまるくなるを覚えないのは不自然
あたりが考えられる。
「そんな!それなら丸くないタツベイがまるくなるのは不自然では?今までの議論は一体何だったのか??」という懸念ももちろんある。
しかしポケモンのバランス調整の傾向として、必ずしもポケモンの形態を最重要視しない、というものがある。
例えば第7世代まで、ヒトカゲはつばさでうつを当然覚えられなかった。
しかし剣盾でリザードン進化時に覚える技がつばさでうつからエアスラッシュに変更されたのをうけてつばさでうつがタマゴ技になり、ヒトカゲも覚えるようになってしまった。
ゲームバランスの都合から、形態上それっぽくない技を覚えることもある。タツベイのまるくなるタマゴ技習得もこれに似た理由だと推察される。
しかし、話はここで終わらない。
続くBW2で教え技が実装されるも、ころがるが削除されていたのだ。
5世代のポケモンではタマゲタケ等ころがるをタマゴ技で習得するポケモンもいるが、コモルーボーマンダにはタマゴ技の救済も無かった。
何故か?
タツベイが丸くない(のでころがれないように見える)からである。
「そんな!それなら結局まるころは両立できないのでは?今までの議論は一体何だったのか??」という懸念ももちろんある。
その通りである。
まるくなるはあくまで5世代からのタマゴ技なので、4世代までの教え技であるころがると同時習得はできない(はず)。
こうなった背景には、BWとBW2の発売期間が2年弱開いていることもあると思われる。仮説として、
・BW開発時に、コモルーボーマンダがまるころを両立できていないことに気付く
・BWでタツベイにまるくなるをタマゴ技で追加決定
・この時点ではころがるは教え技に存在する前提、タマゴ技には実装しない(タツベイはころがれるほど丸くない)
---2年弱の開発期間---
・ゲームバランスの都合でころがるの教え技からの除外が決定
・BW2でもまるころ両立できず
のような流れも十分考えられる。
そしてさらにややこしいことに、まるくなるのタツベイへの遺伝がめちゃくちゃ大変。
同族以外からはなんとあの「金銀のついででエメラルドでもちゃっかりまるくなるをもらったヒトカゲ族」からしか遺伝できない。結局エメラルドが必要。
ここまでをまとめると、
第5世代産:タツベイコモルーボーマンダがまるくなるのみ習得(ただし第3世代産のコモルーボーマンダヒトカゲ族が必要)
になる。
第6世代
まるくなるタツベイ冬の世代その1。
大きな変化は無し。レートでは過去作産禁止ルールも導入され、まるくなるころがる両立コモルーボーマンダは次第に使えなくなっていった。
第7世代
まるくなるタツベイ冬の世代その2。
初代VCおよび第2世代VCが発売、ポケモンバンクとの連携が始まった。
これでエメラルドではなく金銀VCからまるくなるヒトカゲを持ってこれるようになった。
しかし手順はこれはこれでかなり大変で、
1:3DSを2つ用意する
3:もう片方の3DSの金銀VCに通信交換で移動させる
4-1:そのヒトカゲがオスなら、技マシンでまるくなる習得
4-2:そのヒトカゲがメスなら、他のまるくなるを覚えたポケモン(オス)と合わせてヒトカゲ(オス)を孵化(当時は技マシン技も遺伝できる)
5:ポケモンバンク経由でヒトカゲ(オス)をSMやUSMに移動
6:タツベイ族(メス)と合わせて孵化
となる。なんだこれは...
第8世代(剣盾)
すこし希望が見え始めた世代。
まず剣盾でタツベイがてっぺきを習得。タツベイが防御面で純粋に強くなった。
次にカジッチュの登場。カジッチュはタツベイ待望の丸いドラゴンポケモン。
これにより、これまでの遺伝経路の
が
と、手間はかかるものの1ソフト内で収まるようになった。
剣盾では遺伝技の変更や廃止が頻出したが、タツベイのまるくなるに関しては廃止ではなく逆に気軽に遺伝できるようになった。
そしてついに、いわゆる横遺伝が可能になった。
これは同じ種類のポケモンを育て屋に預けると、片方からもう片方へ(孵化を介さず)タマゴ技を遺伝できるというもの。
これにより、第4世代の教え技でころがるを覚えたコモルーボーマンダに対し、まるくなるを遺伝させることができる。
第5世代の"タツベイにまるくなるを与えたのにまるころ両立できない事件"から足掛け3世代、ようやく当時の目的を達成することができた。
一方でころがるは技マシン・技レコード・教え技などで復活することは無く、タマゴ技でタツベイに配られることも依然無かった。
しかしカジッチュ(ころがるも覚える)や横遺伝の存在により、この先の世代でゲームバランスの調整が入った場合にタツベイが習得できる環境は整った。
第9世代でタツベイが心置きなくまるくなってころがれる事を祈るばかりである。
おまけ:第8世代(BDSP)
ポケ徹によれば、タツベイのまるくなるはタマゴ技としてデータ上は遺伝可能だが、遺伝できるポケモンが(2021/12/29時点で)いない状態らしい。
『タツベイ』に『まるくなる』遺伝経路|ポケモン図鑑ダイパリメイク|ポケモン徹底攻略
今後PokemonHOMEとBDSPが連携し、剣盾からまるくなるタツベイを輸送できたら、BDSPタツベイもまるくなれるかもしれない。
(追記:BDSPは地下大洞窟にタマゴ技習得ポケモンが生息しており、そこにまるくなるタツベイがいる可能性があるようです)
*1:まるくなってからころがると威力が2倍になる