構築の流れ
メタグロスについて
まずは言わずもがなデバフ無効、とくに威嚇無効が偉い。ただソルガレオも同じタイプ・似た特性を持ち競合する。
次に技範囲が広い。ダイスチルとダイアースだけでなく、ダイロックでガオガエンをシュカのみに触らず倒せたり、ダイアイスでランドロスやグラードンに打点を持てたりする。特にダイアイスはソルガレオには無い。
使用率上位のポケモンを見ても、ザシアン・ガオガエン・レジエレキ・ランドロス・ゴリランダー・エルフーン・グラードン・ボルトロス・イベルタル・リザードン・モロバレルあたりに弱点が突ける。
今回は使用しなかったがダイサンダーで水タイプにも打点を持てる。
そして遅い。メタグロスのS種族値は70。最遅にするとトリル下で無振りガオガエンの下を取れるので、上記のダイロックと合わせてガオガエンを行動させずに倒せる。これもソルガレオにはできないポイント。
さらに当然ながら禁止伝説ではないので、ソルガレオと違って他に伝説を2体採用できる。相手にメタグロス軸の構築と認識されづらいのも大会では魅力。
使ってみて結構強かったのでメタグロスを生かすトリパを組むことにした。
ザシアンについて
次に、このメタグロスと意外と相性が良さそうな伝説としてザシアンを採用。トリルが終わった後のスイーパーを想定。理由はこんな感じ:
1:メタグロスだと厳しい相手のポリゴン2、ナットレイ、イベルタルに強い
2:ザシアンを見て出て来るポケモン(ガオガエン・ランドロス・レジエレキあたり)をメタグロスで倒せる
3:はがね/かくとうの技範囲がメタグロスのはがね/じめんと似ている
この3番目について補足すると、
ダイマグロスに弱い相手ポケモン(キュレムとか)がトリル下で後発に残り続けるので、
トリルが切れた後に彼らとザシアンが対面することになり、
有利を取り続けられるはず、という流れ。
ザシアンの攻撃が通らない相手はメタグロスのサブウエポンで対応したい。
残りの基本選出
メタグロスとザシアンのトリパで確定。トリル役とサポートが欲しい。
トリル役としてはポリゴン2を採用。耐久値が高く、メタグロスの苦手なイベルタルを弱体化でき、黒バドレックスに強く出られる。
トリルサポートとしてはイエッサンを採用。他のサポートと比べてトリルの成功率が体感で高く、トリル下での相手の先制技も通さない。
イエッサン・ポリゴン2・メタグロス・ザシアンを基本選出とした。記事タイトルに「怪しい」とあるがまだそこまで怪しくはないはず。
次に補完を考える。
対晴れパ
現状だと初手から高火力をぶつけてくる相手、雨パと晴れパが厳しい。まずは晴れパについて。
4月ころからリザードン入り晴れパ(いわゆるリンヤパ)が流行。グラードン/リザードン/オーロンゲ/ザシアン/ガオガエン/トリトドンで構成され、初手グラリザで高火力を押し付けたり、ロンゲザシアンで壁展開から入ったりする。
特に初手グラリザが厄介。キョダイゴクエンで高火力&定数ダメージの削りが入り、普通にトリルから入るとダメージレースで不利な展開になりやすい。ヨロギのみ持ちはダイロックで倒せないこともあり、ゴクエンを防ぐのは難しい。
ただこちらはトリパなので、相手が初手グラリザから入ってくることは多いはず。
そこで何か奇襲が通らないか考える。具体的にはダイマリザをヨロギ貫通で上からワンパンしたい。
どうする?
まずは緊張感げんしのちからミュウツーが候補に挙がったが、後発ザシアンへの対応が難しそうなので却下。
それでも緊張感(人馬一体)は有用そうなので他の候補を探し、黒バドレックスを考察。幸いにも上記晴れパはS操作があまり多くないので相手の上は取れるが岩技は無い。
そして、スピードスワップを覚える。
初手に黒バドレックス+メタグロスを出し、メタグロスにスピードスワップして相手のリザの上を取り、人馬一体ダイロックでヨロギのみを無視して一撃で倒すことにした。
その後は相手のグラードンをてだすけダイアイス、ザシアンをダイアース、ガオガエンをダイロック、オーロンゲをダイスチルで倒せる。決まれば超有利なので黒バドレックスを採用した。
...が、ランクマで試運転中に問題が発生。
晴れパ相手に初手から出て来るメタグロスが怪しすぎて、相手リザに様子見の初手守るでダイロックを耐えられてしまった。相手にダイマグラードンのプランを与えてしまうのでこれは困る。
どうにかして怪しまれないようにしなければ...
盤外戦術
ところで皆さんはポケモン対戦中に、「悩んでいるフリ」をすることはないだろうか?
例えばとんぼがえり等で控えと交代する際に、控えに「相手に打点が無さそうだけど実はあるポケモン」がいる場合に、
交代に時間をかけて「うーんどのポケモンも決め手に欠けるなあ...」的な雰囲気を出し、相手を油断させ次のターンに技を通しやすくする。
今回の初手メタグロスも似たケースだが、交代際ではなく初手である。
ということは、選出時に悩んでいるフリ、もっと言えば間違えたフリをすれば怪しまれないのでは?
構築の上2体を黒バドとメタグロス、中段をザシアンとイエッサンにし、選出決定ボタンを押さず時間切れによる自動選出とした。
これで「時間切れによる不本意な選出」だと思わせられるので、相手に怪しまれないはず。初手リザードンまもる等をされづらくなり、スピスワダイロックを確実に通せる。
もちろん相手に裏2体の選出が割れるデメリットもあるが、スピスワダイロックがちゃんと通るメリットの方が大きそうなので、この番外戦術を採用した。
対雨パ
上記から、対晴れパ用込みでメタグロスの技が「はがね/じめん/いわ/こおり」で確定。相手の水タイプへの打点、というかカイオーガ対策が足りない問題が残る。
最後の6体目には当初ゴリランダーを採用していたが、あまりフィットしなかった。*1ゴリランダーの代わりとして、
・相手のカイオーガから大ダメージを受けず
・カイオーガへ打点もあり
・威嚇の影響も受けず
ようなポケモンが欲しい。
色々探したところ、確定急所スナイパー物理キングドラが該当しそうだと判断。幸いにも構築にイエッサンがいるのできあいだめを積みやすく、全体技のしおふきも1/4で受けることができる。
これで完成。結果的に伝説は黒バドザシアンになったが、動きは全く黒バドザシアンではない構築ができた。
個体紹介
特性:クリアボディ
持ち物:いのちのたま
調整:勇敢HA252D4 最遅
HA特化で持ち物はいのちのたま。珠でもHB特化ガオガエンだとダイロックを確定で耐えられるので火力を重視した。試運転時に倒しそびれたのは1度だけ。
ザシアン
特性:ふとうのけん
持ち物:くちたけん
調整:陽気H172A204B12D4S116
非トリル時やトリル終了後のスイープがメインなので速め。調整は速めのザシアンで一般的なもの。
トリル終了直前のターンに両まもるをされることが多く、そのスキに何か積み技を使いたい。みがわり・剣舞・封印なども考えたが、トリル後に相手レジエレキや黒バドの上を確実に取れるこうそくいどうとした。
ポリゴン2
特性:ダウンロード
持ち物:しんかのきせき
調整:生意気H252B156D100 最遅
今回の構築ではポリゴン2はあまりトリル下で粘らずスムーズにザシアンに繋げたいので、自己再生は必須ではないかも。非トリル下でよく狙われるので、使い勝手のいいまもるを採用してみた。対ソルガレオ等ポリゴン2を大事にしたい相手もいるので選択枠。
イエッサン
特性:サイコメイカー
持ち物:サイコシード
調整:吞気HB252D4 最遅
技:ワイドフォース/てだすけ/このゆびとまれ/しんぴのまもり
しんぴのまもりは相手の催眠対策。白バドパルキアにいる後発モロバレルなどを意識。
バドレックス こくばじょうのすがた
特性:きんちょうかん+くろのいななき
持ち物:きあいのタスキ
調整:臆病CS252H4
技:アストラルビット/スピードスワップ/てだすけ/まもる
いわゆるリンヤパを相手にする枠。この記事での紹介順はここだが、実際のバトルチームでは時間切れに対応するため1番上にいる。
晴れパ以外では黒バド構築相手でも選出。初手でポリゴン2とバドレックスを並べると、相手の初手黒バドがトリル返しでもワイドフォースでもなくアストラルビットを押してくれることが多いので、トリルが通りやすい。
特性:スナイパー
持ち物:ピントレンズ
調整:勇敢HA252D4 最遅
対雨パで選出する。S操作がポリゴン2のトリルしかないため、相手の上を取るよりはトリルアタッカーがいいと判断した。キングドラのS種族値はなんと85しかないため、最遅にすれば遅くないガオガエンの下を取れる。
竜技・水技・きあいだめの他には、カイオーガ構築によくいる襷ヌケニンへの打点が欲しい。ダイアイスにするれいとうビームも候補だが、ダイマが終わると打点がなくなるので今回はあられを採用した。
選出
黒バドザシアン構築のよくある動きに「黒バドのダイホロウからきょじゅうざん等物理技を押し付け」もあるが、この構築は黒バドザシアンではない。
基本選出
先:イエッサン+ポリゴン2
後:メタグロス+ザシアン(or黒バドレックス)
トリルを貼ってダイマメタグロスで暴れた後にザシアンで〆るパターン。
ポリゴン2が速く倒されてしまうとトリル下にザシアンを出すことになるので、必要ならポリゴン2はまもるを押す。
ダイアイスやダイロックをよく押すので、襷黒バドはあまり選出しない。
対黒バドザシアン
先:ポリゴン2+黒バドレックス
後:メタグロス+ザシアン
相手からすると「黒バドザシアンミラーだが相手に追い風やエレキネットが無い」ように見えるので、初手に黒バドレックス+レジエレキ等S操作要員を出してくるはず。
そのためイエッサン+ポリゴン2を出すとワイドフォースでポリゴン2がごっそり削れてしまう。
そこでポリゴン2+黒バドレックスと出すと比較的安全にトリルが張れる。初手はトリル+アストラルビットorまもる。あとはダイマグロスで暴れてザシアンでスイープ。
万が一ポリゴン2が先に倒された場合は、スピスワでダイマメタグロスを速くする。
対リザードン晴れ
先:メタグロス+黒バドレックス
後:ザシアン+イエッサン
上述の通り、選出時はあえて時間切れとする。
イエッサンではなくポリゴン2を選出したい場合は、残り時間1秒未満のギリギリで選択確定ボタンを押す。相手に「今の間に合ったか?でも初手黒バドグロスだし間に合ってないんじゃ?」と思わせることで奇襲が通りやすくなる。
初手がオーロンゲ+ザシアンの場合はオーロンゲに変な行動をされないよう祈りながらまもる+ダイスチルでオーロンゲを突破。グラードンがダイマすることが多いので、メタグロスで隣を倒しながらザシアンでスイープする。
対白バドパルキア
先:イエッサンorポリゴン2+黒バドレックス
後:メタグロス+ザシアン
初手でパルキアを削って、トリル中はまもるとダイマメタグロスで凌ぎ、2回目のトリルをザシアンで阻止する。
対カイオーガ
先:キングドラ+イエッサン
後:ポリゴン2+ザシアン
きあいだめを積みながらトリル下で暴れてザシアンでスイープ。
ポリゴン2が早めに落ちるとトリル中にザシアンが出てしまうため、ポリゴン2は適宜まもるを使いたい。
戦績
PJCS2022予選 最高1665 最終1620くらい
1700には届かず。今大会は高レートを取るのが非常に厳しいためか、数字よりも手ごたえはあり、勝率のわりに楽しめている感覚があった。
全体の感想
「メタグロスの攻撃が通れば勝ち、通らなければ負け」という試合が多かった。
相手の一般枠がガオガエン・ゴリランダー・ランドロス等で伝説枠がザシアン等の場合はかなり攻撃が通り、楽な試合展開になることが多かった。
一方でHB特化ガオガエンにダイロックを耐えられたり、ソルガレオ等のダイスチル込みで受けられたりすると厳しい。
中でもナットレイが辛かった(3敗)。確かにザシアンの聖剣はナットレイに有利だが、結局トリル中のダイマグロスを通せない問題は解決できなかった。ここを修正したい。
そして対晴れ、特に対リンヤパについて。2戦マッチして2戦とも時間切れ選出を実施し、相手は2戦とも初手グラリザからのリザードンダイマックス。
怪しまれなかった。よかった。
2戦ともスピスワ→人馬一体ダイロックを通して勝利。2戦と言わずもう少したくさんマッチしたかった。
一方でリンヤパ以外の晴れ(グラバナなど)が若干怪しく、結局ポリゴン2でトリルして下からダイロックを狙う試合も。
全体的にメタを張った相手に強く、それ以外に脆かった感じ。
個別の感想
火力重視なのは正解。相手のガオガエンをダイロックで結構倒せたが、HB特化に近い個体に2回ほど耐えられたので、環境的にはやや逆風だったかも。
ザシアン
素早さを速め(準速ザシアン抜き)にしたのは正解。トリル中よりトリル後の素早さが大事なことが多かった。
高速移動は使用回数こそ少ないものの有効に使えた試合もあった。他のザシアントリパでも試してみたい。
イエッサン
一般的な個体なので特筆すべきことは無い。まもるが欲しい場面もあった。
ポリゴン2
まもるが非常に強かった。ポリ2でも盤面に長居できない現環境では、ダイマ技をやり過ごせるため自己再生よりも使用感が良かったかもしれない。
ただプレイングにもっと慣れる必要があった。まもるの択になった試合で、「相手はポリゴン2のまもるが見えていないはず」という線を見落として勝てなかったことがあった。これからまもるガオガエン等を使う際にも意識したい。
黒バドレックス
奇襲が成功して良かった。
キングドラで勝てた試合もあったが、対オーガで選出してもナットレイで詰むことが多く、別のポケモンにした方がよさそう。
次回の構築は、
・メタを貼った相手以外にも汎用性を持たせるか
・メタの範囲を広げるか
のどちらかを意識して組みたい。どちらがいいんだろう、後者かな...?