構築の経緯
特性「びびり」を活用したいところからスタート。
びびりの仕様は、
「ゴースト・むし・あくタイプの技を受けた時」or「いかくされた時」に素早さが1段階上昇する
というもの。要はふくろだたきのすばやさバージョン。
これを能動的に使いたいので味方殴り、火力も確保するためびびりポケモンに弱点保険を持たせることまで決定。ダイマックスエースとして上から制圧したい。
特性「びびり」の中でゴースト・むし・あくタイプが弱点なのはアローラペルシアン族のみ。アローラペルシアンはS種族値が115もあるので、Sを上げて上から制圧するというコンセプトとも自然と合致する。素直にアローラペルシアンを採用。
ペルシアンを殴る技は虫タイプの連続技が望ましいのでミサイルばりに決定。
味方殴りのポケモンは
・可能な限り優しく殴りたい
・ペルシアンのダイアークの恩恵を受けたい
・相手の上から味方を殴りたい
という条件から速めの特殊アタッカーが望ましい。
この条件に当てはまるポケモンはサンダースとアーゴヨンのみ。はやあしが発動すると最速レジエレキも抜けるようになるサンダースを今回は採用。
はやあしサンダース+びびりアローラペルシアンを構築の軸とした。
同じ味方殴り弱保+S上昇のギミックは他にもあるが、びびりだとかるわざとは違って倍率が2倍以上になるし、くだけるよろいと違いB下降もない。
じょうききかんと比較するとS上昇の倍率は4倍と負けているが、ペルシアンのSが高いので最終的にセキタンザンよりも速くなれる。
他のギミックとの差別化はちゃんとできている。
...ところがこのサンダースペルシアンの組み合わせ、1つ大きな問題点を抱えている。それは
「種族値が低い」
というもの。ダイマ運用を想定しているアローラペルシアンの種族値は
65-60-60-75-65-115の合計440である。
耐久はインテレオンより一回り低くアブソルとほぼ同じ、ここから抜群技で味方に殴られてさらに削れていく。
火力は高い方のCでもクレセリアと同じで、控え目C特化でも実数値139しかなくあの陽気コバルオンの攻撃実数値142よりも低い。
他のポケモンを探そうにも、冠の雪原時点でアローラペルシアンの合計種族値440はびびりの中では圧倒的に高い(次点がノコッチの415)。
さすがにペルシアンと比べるとサンダースの種族値65-65-60-110-95-130(合計505)は高いが、火力がそこそこだったり物理耐久はペルシアンと同じだったりとやや心もとない。
この種族値で実戦で機能するかは甚だ疑問だったが、実際どうなのかはやってみないとわからないので、やってみることにした。
残りの4体は高種族値で固めたい。
まずカプ・レヒレ(サンダースのはやあしが発動しない・フェアリー技でペルシアンが致命傷を負う)とゴリランダー(サンダースが上から倒される)が重そう。これをけん制できるポケモンとしてフシギバナを採用。
ここで、当時(シーズン12)バナコーポリ2が流行。その中でよく使われる並びに、
「フシギバナ・コータス・レジエレキ・ガオガエン・ポリゴン2・ブリザポス」という並びがあった。
この並びに寄せることで、相手がサンダースとレジエレキ・ペルシアンとガオガエンが同じ役割だと錯覚してくれるかもしれない。
残り2体にポリゴン2とブリザポスを採用して試運転。その後ポリゴン2の使用感が悪かったためサマヨールに変更。
構築を完成とした。
個体紹介
特性:びびり
持ち物:じゃくてんほけん
調整:ひかえめC252 H180 S76
S2上昇時レジエレキ・S6上昇準速セキタンザン抜き、はやあしサンダース抜かれ
技:あくのはどう/こごえるかぜ/かみなり/まもる
余りにも数値が足りないので火力特化、Sに最低限割いて可能な限り耐久に回した。
技はあくのはどうとまもるは確定。あく技と相性補完の取れたフェアリー・はがね技も採用したいがどちらも覚えない。
今回は、
・構築のフシギバナが相手のダイジェット要員を誘う
・隣のサンダースと連携したい
・カプ・レヒレとゴリランダーが辛い
・催眠耐性を取りたい
・実はランドロスが辛い(ダイマしても意地とんぼで半分以上削れる)
のででんき・こおり技を採用した。
でんき技がかみなりなのは、10まんボルトベースの弱保ダイサンダー+後述のサマヨールのかげうちだと無振り悪ウーラオスが確定にならないため。ペルシアンの火力が足りない。
サンダース
特性:はやあし
持ち物:かえんだま
調整:おくびょうCS252 H4 A個体値0
技:10まんボルト/ウェザーボール/ミサイルばり/みきり
ミサイルばりで味方殴りするポケモン。
かえんだま+はやあしでSが1.5倍になる。倍率が2倍じゃないの低くない?
相手に自分より速いポケモン(レジエレキとか)がいたり、いかくされてサンダースよりアローラペルシアンの方が速くなったりした時は初手みきり・まもるではやあしを発動させる。
かえんだまを持たせると、はやあし発動だけでなくペルシアンへのミサイルばりダメージが減って良い感じ。
というか非やけどでミサイルばりを5発高乱数で当て続けると、A実数値63(最低)のサンダースでもダイマペルシアンが3割削れる。ペルシアンの耐久が足りない。
ペルシアンのダイアークで相手D下降・ダイサンダーでエレキフィールド展開、ダイアイスでウェザーボール氷起動、と火力支援があるのでちゃんと相手も殴れる。
ちなみにミサイルばりの命中率は95。稀に外して大変なことになる。
特性:ようりょくそ
持ち物:バコウのみ
調整:HC252 S4
HCフシギバナ。裏選出の先発。
バナコーの並びは相手に強烈に警戒されることが多いので、むしろ晴らさずトリル要員と同時に出してトリル下で動かすことが多かった。
相手オーロンゲに鉄球を渡された試合ではそのままトリルエースとして制圧したので、最遅しんりょく型でも面白かったかも。
特性:ひでり
持ち物:もくたん
調整:HC252 D4 最遅
技:ねっぷう/ふんか/だいちのちから/ソーラービーム
一般的なもくたんコータス。試合中盤にトリルした場合はスイーパーをこなすので、HDのサポート型よりは火力重視で良かった。
偶にペルシアンの残したダイアークD下降の恩恵を受ける。
ブリザポス
特性:しろのいななき
持ち物:とつげきチョッキ
調整:ゆうかんHA252 D4 S個体値25くらい
技:つららおとし/ヘビーボンバー/10まんばりき/インファイト
一般的なチョッキブリザポス。王道な強さ。
厳選が大変なのでたまたまS0バドレックスと同時に出たS非Vの個体を使用。コータスツンデガラガラのような純粋なトリパに対して上から制圧できるが、偶に相手ブリザポスに上から殴られるので意地S12振りとかでも良いかも。
特性:おみとおし
持ち物:しんかのきせき
調整:HB252 D4
いつものサマヨール。
てだすけを覚えるのが偉く、サンダースペルシアン選出では中盤に出しても上からの制圧を続けることができる。頃合いを見てトリルしてコータスやブリザポスに繋ぐ。
かげうちはペルシアンの項参照。
最高レート時に使っていたが、その後にやたらちょうはつを受けて(ガオガエンとかゴリランダーとかカプ・レヒレとかドリュウズに化けたゾロアークとか)連敗し、一時フレフワンを使ったりもした。バナコーポリ2への環境のメタが強い。
(フレフワン)
特性:アロマベール
持ち物:オボンのみ
調整:ずぶといHB252 D4 最遅
技:ムーンフォース/トリックルーム/てだすけ/サイドチェンジ
ウーラオスとちょうはつに強いトリル役。サマヨールの代わりに一時使っていた。
持ち物はとりあえずオボンを持たせたが発動機会は多かった。弱保ダイマとかの超高火力で押し切られるとどうにもならないのでタスキでも良いかも。
選出
サンダースペルシアン選出
先発:サンダース+ペルシアン
後発:トリル要員+コータスorブリザポス
基本選出。相手にほぼ読まれないので迷ったらこっち。
序盤はサンダースペルシアンで上から制圧。どちらかが倒れたらトリル要員を出して、てだすけを絡めて上から殴り、すきを見てトリルしてトリルエースにつなげる。
トリル選出
先発:トリル要員+フシギバナ
後発:コータス+ブリザポス
ペルシアンのあく・でんき・こおり技の通りが悪い時はこっち。ドラタンザンも含む。
初手からバナコーで攻めることはあまりなく、トリルしてコータスやブリザポスを中心に攻撃することが多かった。偶にフシギバナもトリルアタッカーになる。
相手からメタが張られていることが多い。
戦績
剣盾ダブルのシーズン13で最高3桁順位到達。その後連敗したものの3000位台に落ち着く。
感想
意外と戦えたというのが正直な感想。種族値が低すぎてカジュアルバトルでもギミック成立+勝利が実現できるか怪しいと踏んでいたので、瞬間でも3桁に到達できたのは驚きだった。
勝った試合では「初手で相手を1体倒しながら相手ダイジェット要員の上を取り続ける」展開が多かった。
特殊ダイマエースにとって一致ダイアークのD下降がとにかく偉く、数値上は火力の低いペルシアンとサンダースでも抜群を突けば十分な火力が出せた。
具体的には、D下降無振りダイマサンダーへの弱保ダイアイスが珠ダメ込みで確定になるくらい。落とせなくてもサンダースのウェザーボールで追撃できる。
試合によってはほぼサンダースとペルシアンだけで準伝2体を含む相手4体を上から殴り続けて制圧することもあった。
サンダースとペルシアンでも準伝2体を上から制圧できる #ポケモン剣盾 #NintendoSwitch pic.twitter.com/9gRSEq1Bqm
— colon_pip (@SemColon) 2020年12月30日
逆に厳しかった相手は、「おいかぜでサンダースが上を取られ続ける」「ペルシアンの攻撃の通りが悪い」「相手の初手が固い」あたり。
特に初手に多いガオガエンにあく技がいまひとつで技を打ちづらかったり、サンダースがダイアースを誘発してダイアークのD下降が生かせなかったりする展開が厳しかった。
使用感としてはおおむね楽しかった。ギミックとしては元々低かった期待値を軽々飛び越えていったが、低種族値特有の数値押しのしづらさもあってもう一歩足りなかったかな、という感想。
本筋とは関係のない補足:びびっているよりも正義の心を持っている方が強い
今後高種族値のびびりポケモンが出てくれば、びびりギミックの低種族値問題も解決する可能性がある。だがこの特性、上述(アローラペルシアンの440が種族値最高、次点がノコッチの415)したように強いポケモンに配られる気配がほとんど無い。
これと対照的なのは、同じ味方殴り系特性であるせいぎのこころ。なんと所持ポケモン9体中7体が合計種族値500超え。550以上でも5体おり、明らかに強いポケモンに配られている。
ゲームの設計段階から「びびっているポケモンは弱く、正義の心を持っているポケモンは強い」ことは明確に意識されている可能性がある。
ここからは個人的な感想になるが、先日視聴したアニポケ映画でもほぼ同じメッセージを受け取った覚えがある。
「キュレムVS聖剣士ケルディオ」である。
(以下ネタバレあり 未視聴の方はこちらをどうぞ)
話の本筋はケルディオの成長譚で、
「初戦でキュレムに圧倒されビビッて逃げ出したケルディオが、サトシたちとの出会いを経て正義の心を身につけ、最後は先輩聖剣士たちやキュレムに認められる」
というもの。
このテーマは作中で繰り返し語られ、例えばサトシとケルディオのやり取りにも端的に表現されている。
サトシ「ケルディオ!お前ビビってるのか?」
ケルディオ「なに!?」
サトシ「一度やられたからって、ビビってるようじゃ、聖剣士になれないぞ!」
ケルディオ「ビビってなんかいるもんか!僕は今から、聖剣士たちを助けに行くんだ!」
サトシ「...そう来なくっちゃ!」
「びびっているよりも正義の心を持っている方が強い」というメッセージは、ポケモンというコンテンツを通じてゲーム・アニポケの枠を超えて一貫して発信されているのである。
自分もポケモンファンである以上、ポケモンからのこのメッセージを大切にしたい。そしてこの先もし挑戦的な構築を思いついたとしても、変にビビらずに根気よく実戦で回す勇気を持っていたい。