構築の流れ
「アブソルを叩きたい」から構築スタート。
なぜアブソル?普通は聖剣士とかウインディでは?という意見は実際正しい(種族値も高い)が、アブソルもアブソルならではの強みを持っている。
1つ目がSの遅さ。
S種族値が75であり、せいぎのこころ持ちではガーディの60に次いで低い。
実数値だと72で、スタン構築の面々(S無振りのバンギラスやガオガエン)より遅く、トリルエースとして運用できる。
そして2つ目が「ふいうち」の存在。
トリパはトリルを凌がれた後に上から縛られがちだが、アブソルは先制技「ふいうち」を持っている。
叩きによる火力上昇と合わせると、トリルが切れた後でも相手を上から縛りつづけることができる。
アブソル叩きのここが強い:ダイマが切れてもトリルが切れてもふいうちがある #ポケモン剣盾 #NintendoSwitch pic.twitter.com/4oZ5kwhxND
— colon_pip (@SemColon) 2020年11月23日
とても楽しそうなのでこの構築を使いたい。
次にアブソルの叩き役だが、実は剣盾で大きな強化を貰っている。
叩き役に求められる条件は、「トリックルーム」「ふくろだたき」の2つの技を習得し、トリル下でアブソルの下から叩けること。
そしてサンムーン時点では、両立できるのは「ドーブル」「エルフーン」「キリンリキ」のみ。
速すぎるエルフーンは除外、ねこだまし耐性の無いドーブルも使いづらいので、自然と精神力キリンリキが候補に。ただS種族値が85もあり、アブソルの下を取るにはレベルを44まで下げる必要がある。
つまり、アブソルの叩き役として「レベル44キリンリキ」がよく採用されていたのだ。
(7世代ダブルの自作構築)
colon-sem.hatenablog.com
(6世代トリプルの構築 この動画の4:32:04~)
しかし剣盾では様相が一変。キリンリキ未解禁・ランクマレベル50統一の上にミミッキュがふくろだたきを習得してしまった。
トリル・叩き・ねこだまし耐性のすべてを持つうえに、新しい道具「ルームサービス」と合わせると非トリル下でもアブソルの上を取って叩けてしまう。
レベル50のミミッキュとレベル44のキリンリキだと、レベルが高い前者の方が強い。仮にキリンリキや低レベルが解禁されたとしても、再びレベル44キリンリキを使うことは無いだろうなあ。
ここまででアブソルとミミッキュが確定。
次にトリルサポートかつアタッカーにもなれるイエッサン♀を採用。またこの構築ではサブアタッカーを立てるよりアブソルを全力でサポートした方が強いと考えたため、2枚目の固い指・粉要因としてモロバレルを採用。
ここまででトリパやスタンの中の遅いポケモン(ブリザポス等)が重い(アブソルのS種族値は75もある)。
裏選出に速いポケモンを入れてもここまでの遅めな4体(アブソルのS種族値は75しかない)とかみ合わなさそう。なので逆に遅い方向に振り切ってコータスとツンデツンデを採用。ブリザポスやブリムオントリパあたりを下から殴ることにした。
これで構築が完成。
個別解説
アブソル
特性:せいぎのこころ
持ち物:アッキのみ
努力値:ゆうかんHA252B4 最遅
技:ふいうち/アイアンテール/じゃれつく/みきり
エース。
トリル下でイエッサンが退場した後にミミッキュと並べ、叩かれてAを上げて制圧、トリルが切れたらふいうちで全抜きするのが基本。
実はダイマックスと非常に相性が良い。
1つ目にダイマックスすると技範囲を広くできる。どういうことか?
基本的にミミッキュに叩かれ→アブソルの攻撃の順が望ましいが、優先度1のふいうちではこれを実現できない。そのため7世代ではふいうちとは別に悪タイプの技を用意する必要があった。
しかしダイマックスするとふいうちが優先度0のダイアークに変化、しっかりミミッキュの後に攻撃できる。悪技が1つで済むので技枠が余るのだ。
7世代の自作構築と比較すると、
7世代:ふいうち/みきり/ぶんまわす(貴重な一致範囲技)/すてみタックル(悪技半減の悪格闘フェアリーに等倍、シルクのスカーフ持ち)
8世代:ふいうち(ダイアーク)/みきり/じゃれつく(ダイフェアリー)/アイアンテール(ダイスチル)
明らかに8世代の方が強い。
そして2つめ、ダイマックスすると耐久が上昇。なんとあのアブソルが相手の攻撃を2発耐えるようになる。
アブソルの元々の耐久種族値はH65-B60-D60。コジョンドやラビフットと全く同じで、BD合計はピッピやライチュウに劣る。しんかのきせきは持てない。かなりの紙耐久。
が、ダイマックスすると耐久が2倍になるだけでなく、ダイスチルやアッキのみ(ミミッキュの叩きで起動)で防御を上げられる。
ダイマ+B2段階上昇まで積めると、ウーラオスのインファイトすら乱数3発まで抑え込める。生半可な物理技では倒されないし、相手のダメージ感覚も混乱させられる。
アッキのみのここがすごい:ダイスチルと合わせてBを上げると、アブソルとは思えないほど物理に固くなれる #ポケモン剣盾 #NintendoSwitch pic.twitter.com/I9xDKc1DZk
— colon_pip (@SemColon) 2020年11月23日
(特殊方面は脆いので特殊アタッカーから処理して物理を受けましょう)
ダイマックスの効果はそれだけではない。読者の方々はダブルで相手がダイマックスしたらどうするだろうか?特に4倍弱点の無いトリパエース相手なら?
ダイマックスポケモンをただ攻撃してもあまり意味がないので、まもる・隣を攻撃・デバフなどを選択するのが習慣になっていないだろうか?
つまりアブソルがダイマックスすれば、「ダイマックスした」というだけで被弾が減り耐久を温存できるのだ。ダイマの威を借るアブソル。
以上より、ダイマックスすると技範囲・耐久ともに強化されるので、ふくろだたきのA上昇と合わせて強いエースになれる。
持ち物のアッキのみ、技のふいうち・みきり・じゃれつく・アイアンテールはほぼ確定。ダイマックスのあとは基本的にふいうちを打つが、地味にアイアンテールの追加効果「30%で相手の防御を下げる」も偉かった。ダイスチルを積み終わってふいうちも警戒している相手(やどりぎテッカグヤとか)を無理やり柔らかくして勝った。
レベル:50
特性:ばけのかわ
持ち物:ルームサービス
努力値:ゆうかんHA252B4 最遅
技:ふくろだたき/トリックルーム/まもる/じゃれつくorシャドークロー
ばけのかわや指で1発耐えてトリルを展開、ルームサービスでS下降。隣にアブソルを出してふくろだたきするのが基本。
レベル44キリンリキとは違い能動的に攻撃できるので、置物化を防ぐためにも1つはタイプ一致技が欲しい。イエッサンのワイドフォースと合わせて相手を倒せることも。
悪ウーラオス(アブソルのふいうちが1/4で残すと厄介)意識のじゃれつくか、トリル封印エスパー勢意識のシャドークロー(イエッサン♂に効かないのが厳しい)あたり。
イエッサン(メス)
特性:サイコメイカー
持ち物:きあいのタスキ
努力値:れいせいHC252B4 最遅
技:ワイドフォース/マジカルフレイム/このゆびとまれ/ねこだまし
トリルサポート兼アタッカー。
タスキを持ってミミッキュと並べれば、ふういん以外大体トリルが成功する。
なぜイエッサン?サイコフィールドはふいうちとの相性が悪いのでは?という意見も当然あるが、この構築ではサイコフィールドのターン管理のためイエッサンを採用した。
順を追うと、初手ミミッキュ+イエッサンでサイコフィールドが張られてトリックルーム起動。両方とも残り5ターン。
トリル下でアブソル叩きを展開、相手は凌ぐ。トリルと同時にフィールドも切れる。その次のターンからふいうちが通る。
この時トリル下で相手に後発イエッサンやダイサイコを通されても、既にフィールドは張られているので残りターン数が変わらず、トリル終了時に確実にフィールドが切れるのだ。
技はこのゆびとまれとワイドフォースまで確定。今回のアブソルはBに厚いがDに薄いため、少しでも相手の特殊アタッカーを流せるようにマジカルフレイムを採用。
そしてねこだまし。「指トリパ相手はとりあえず初手全体技でひるみ」というスタン構築は結構多く、また最近のひるませ役はランドロスやガラルファイヤーなどなぜか浮いているポケモンが多い。安全にトリルを起動するため意外に使う場面は多かった。ふうせんウツロイドに刺さることも。
ほかにもマジカルシャインやしんぴのまもり等採用したい技がたくさんある。
特性:さいせいりょく
持ち物:ゴツゴツメット
努力値:なまいきH136B116D156 最遅(配布個体そのまま)
技:ヘドロばくだん/いかりのこな/キノコのほうし/まもる
後発から展開してアブソルのサポートをする。後述のコータス展開の時はコータスもサポート。
トリル下ではほうし、トリルがきれたらいかりのこな。粉無効の草タイプにはヘドロばくだん
持ち物のゴツゴツメットは相手のタスキ(主に悪ウーラオス、特にミミッキュのじゃれつく非採用の時)を潰すため。ほかにもオボンや炎半減実もよさそう。
特性:ひでり
持ち物:じゃくてんほけん
努力値:れいせいHC252D4 最遅
技:ふんか/ねっぷう/だいちのちから/ソーラービーム
裏選出エース。アブソルを出さないときは100%選出&ダイマックス。
アブソル軸だとブリザポスや対トリパが心配なので、ツンデツンデと合わせて採用。後述のツンデツンデの地震で弱保を起動してもらう。
最近のコータスはあくびやしっとのほのお等サポートに回ることが多いが、晴れ+弱保+威力150ダイバーン+S20のおかげでアタッカーとしてもとても優秀。
技はメインのふんか、ダイマが切れたあとのねっぷう、ヒードラン等に通るだいちのちから、H振りカプ・レヒレを弱保ダイソウゲンでちょうど確定1発にできるソーラービーム。
ツンデツンデに岩技が無い関係でげんしのちからダイロックが欲しくなることもあった。
特性:ビーストブースト
持ち物:ぼうじんゴーグル
努力値:ゆうかんHA252D4 最遅
技:ジャイロボール/じしん/ボディプレス/トリックルーム
トリックルーム&コータスの弱保起動役。コータスを下から殴れて単体性能もあるトリル役はツンデツンデくらいのもの。
7世代まではコータスを最も優しく殴れる弱点技は「めざめるパワー水」であり、筆者も厳選・愛用していた。
が、8世代ではめざパが消滅。代わりにダイマックスが導入され多少強くコータスを殴っても良いことになったので、範囲技でタスキ潰しもできる地震を採用。ダイマコータスにダブルダメージで2割くらい。
技は採用理由のトリックルームと地震、メインウエポンのジャイロボールの他にボディプレスを採用。対ガエンやバンギラスへの安定打点で、威嚇を回されても火力が落ちない・ビーストブーストで火力が上がる等便利だった。
味方を殴り倒してボディプレスの火力を上げることもあった(負けた)。
雨パが多ければヒートスタンプ(ダイバーン)やスキルスワップ(コータスに打ってひでり再起動)も採用したいけどあまり存在しなかった。
選出と試合の流れ
アブソル選出
先発イエッサン+ミミッキュ
後発アブソル+モロバレル
1ターン目:イエッサンは指や猫、ミミッキュはトリル
2ターン目:イエッサンは指やワイドフォース、ミミッキュはまもる
2ターン目でイエッサンが気絶することが多い
3~5ターン目:アブソルを展開してミミッキュで殴る、アブソルで制圧、ミミッキュが気絶したらモロバレルを出す
トリル終了
6ターン目~:モロバレルでサポートしながらアブソルでふいうち
コータス選出
先発イエッサン+ツンデツンデ
1ターン目:イエッサンは指や猫、ツンデツンデはトリル
2ターン目:イエッサンは指やワイドフォース、ツンデツンデは攻撃
2ターン目でイエッサンが気絶することが多い
3~5ターン目:コータスを展開してツンデツンデで殴る、コータスで制圧、ツンデツンデが気絶したらモロバレルを出す
トリル終了
選出と試合の流れがコピペできるレベルでやることが似ている。この2パターン以外はほぼ無し。
結果
シーズン12のダブルで瞬間3桁に到達、レートは1740くらい。構築としては十分機能している。少なくとも7世代のアブソル自作構築(初回1500→1400、2回目1500→1600→1500)よりは格段にまともになった。
感想
楽しかった。
まずはアブソル軸。アブソルのふいうちは見せない限りは基本的に読まれなかった。トリル終了後に相手は「さあ一転攻勢だ」という意識になることが多いためか、すんなり決まってアブソルの4タテで勝つことが多かった。
後発をサブアタッカー(弱保メタグロスとか)ではなくモロバレルにしたのも正解で、絶対的エースを立てる場合はそのポケモンを守り続けるのが強そう。今のところダイマックス技全部単体技だし。
イエッサンでサイコフィールドのターン管理をするのは失敗で、誰もイエッサンを後発から出さないし誰もダイサイコを打たない。ふいうちが打ちづらいのと相手の先制技をカットできるのとでメリット・デメリット半々といった感じ。
コータスツンデ選出もとにかく火力があり強かった。現環境は雨パやバンギラスが少なくて非常に動きやすい。
コータスツンデが組む相手は別にアブソルである必要はないので、他のポケモンと組み合わせるともっと強くなるかも。
またトリルが切れると上から縛られがちになるので、初手ではなく中盤にトリルを張る・ダイマ切れとトリル終了が重ならないようにダイマを遅らせる等工夫が必要かなという感じ。
完成度はあまり高くないが、例え構築にいくつか大穴(ダイマカプ・レヒレに誰も勝てないetc)が開いていても、相手が気づかなければそれは穴として機能しないので、BO1のランクマなら勢いである程度勝てた。
使っていてとても楽しい構築だった。次も使用感の良い構築を組みたい。